イリオモテヤマネコ|ヤエヤマオオコウモリ|野鳥|ズグロミゾゴイ|ムラサキサギ|カンムリワシ|キンバト|ヤツガシラ|爬虫類|両生類|干潟の観察
- イリオモテヤマネコ Felis iriomotensis
西表島に来たからには、イリオモテヤマネコが見たいと思うもの。こればかりはそう簡単に見ることができません。
古見にある「西表野生生物保護センター」にイリオモテヤマネコに関する展示があります。この施設では野生復帰のために飼育されている個体をリアルタイムのビデオで見ることができます。ビデオ越しですが、自然に近い生態が観察できておもしろいですよ。なぜ、直接見ることができないかというと、公開目的で飼育されているわけではないからです。
イリオモテヤマネコはどちらかといえば、夜行性。夜、車を走らせていると、道路脇でイリオモテヤマネコを目撃することがあります。
昼間でも活動しているようで、浦内川の遊覧船から泳いでいるイリオモテヤマネコを目撃した例や、昼間、道路脇に出てきた個体を写真撮影した例もあります。
なお、島内の道路には「ヤマネコ注意」の看板が立っています。どこにでもあるかというとそうでもなく、多いところと少ないところがあります。この看板の立っているところは、イリオモテヤマネコが車に轢かれた場所や、よく出現するところに立てられています。だから、この看板の周辺は出現する確率が高いところなのです。[戻る]
- ヤエヤマオオコウモリ Pteropus dasymallus yayeyamae
八重山諸島に分布するのはクビワオオコウモリ Pteropus dasymallus の亜種ヤエヤマオオコウモリ P. dasymallus yayeyamae です。クビワオオコウモリの分布は北は屋久島の隣の口之永良部島、南は台湾です。
夕暮れ時から活発に活動をはじめ、集落の周辺でもよく飛んでいます。オオコウモリに尾羽はないですから、鳥とは全くシルエットが異なります。暗くなっても区別がつきます。
オオコウモリ類は果実や花の蜜を食べます。だからその時々の果実や花に集まります。昼間のうちにオオコウモリが集まりそうな木をチェックしておくのがよいでしょう。「キーキー」とか「キャァーキャァー」といった感じで鳴き、たくさんの個体が集まっていると、結構騒がしいです。
昼間は大きな木にぶら下がって休んでいることが多いですが、比較的涼しい日や曇りの日だと昼間でも飛んでいます。[戻る]
- 野鳥
野鳥を見に来るのであれば、7〜9月はさけた方がよいでしょう。留鳥と若干の夏鳥しかいません。西表島は繁殖する野鳥の種類が少ない島です。この時期、野鳥も暑いのかあまり姿を現しません。探鳥の季節は冬と渡りの頃。それと夏鳥の観察なら、4〜6月です。冬や渡りの頃にはいわゆる珍鳥が見られるかもしれません。西表島で繁殖をする夏鳥(アカショウビン Halcyon coromanda・サンコウチョウ Spilornis cheelaなど)は3月下旬から4月上旬の頃に東南アジアなどから渡ってきます。
また留鳥のほとんどが本土とは別亜種になっています。羽の色が違ったり、体が小振りだったり、鳴き声が少し違ったりします。キジバト Streptopelia orientalis・ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis・シジュウカラ Spilornis cheela・メジロ Spilornis cheela・ハシブトガラス Spilornis cheelaといった本土で普通の野鳥も別亜種ですから、よく観察してみましょう。
八重山諸島のみで観察できたり、八重山で観察しやすい野鳥について項を改めて。[戻る]
- ズグロミゾゴイ Spilornis cheela
図鑑などには森林性とあります。確かに森林性ですが、比較的開けた集落の中にも出てきます。近縁のミゾゴイに比べ、少し開けたところを好むようです。私の住んでいる集落では、朝夕、集落内の道路を歩いている姿をよく見かけます。[戻る]
- ムラサキサギ Ardea purpurea
大型のサギ類で、八重山諸島では留鳥です。水田を探してみましょう。水田の周囲の木の上にとまっているかもしれません。また浦内川や仲間川の遊覧船から観察できることもあります。[戻る]
- カンムリワシ Spilornis cheela
特別天然記念物。国内の分布は石垣島と西表島で固有亜種です。両島合わせて200羽前後生息していると考えられています。西表島の方が個体数が多く、集落周辺にもいるので、石垣島よりも観察がしやすいです。
カンムリワシが観察しやすいのは秋から春にかけて。この時期は、集落周辺の電柱の上に朝夕とまっているのが観察できます。よく晴れた日中は「フィーフィー」と鳴きながら大きく輪を描いて飛んでいるところも観察できます。夏になると、森林内に入ってしまうので、観察しにくくなります。[戻る]
- キンバト Chalcophaps indica
天然記念物。比較的小型で、雨覆がコバルトグリーンでとても美しいハトです。地上採餌のハトなので、森の中を歩いていると餌を探しながら前を歩いている個体に出会うことがあります。脅かさなければ比較的近くまで近寄ることができる鳥ですから、見つけたら、そーと近づいてみましょう。道の両脇が森林になっていれば車道でも見かけることがあります。[戻る]
- ヤツガシラ Upupa epops
秋と春の渡りの頃、道路脇などで観察できます。秋の渡りの時には少なく、春の渡りの頃に比較的よく見かけます。[戻る]
- 爬虫類
こちらでは冬眠しませんので、一応一年中観察することが可能です。でもやはり寒いと活動が鈍るので、12〜2月は見かけることが少ないです。しかしこの期間でも暖かい日は活動しています。爬虫類の観察なら4〜10月がよいでしょう。
カメ類は3種。セマルハコガメは陸生のカメ。ミナミイシガメは水田や水路に生息しています。夜、水田を探すとよいでしょう。スッポンは移入種と考えられています。
ヤモリ類は2種。「キョキョキョキョ」と室内で鳴いているのはホオグロヤモリ。とてもすばしっこいですよ。ミナミヤモリは鳴かないヤモリ。室内に入ってくることあまり無いけれど、家の外壁についていることがあります。行動は比較的緩慢。
トカゲ類は5種。樹上性のトカゲはサキシマカナヘビとサキシマキノボリトカゲ。樹上性のトカゲは森の中で木の枝や幹をよく探しましょう。サキシマキノボリトカゲはたくさんいますよ。地上性のトカゲはイシガキトカゲとキシノウエトカゲとサキシマスベトカゲ。キシノウエトカゲは日本最大のトカゲで、天然記念物です。海岸林や畑など、3種の地上性のトカゲの中では一番乾燥したところを好むようです。
ヘビ類は、夜行性や個体数の少ない種類が多く、昼間はあまり見かけません。その中で、一番よく見かけるヘビはサシキマハブ。いろんなところで見かけます。沖縄本島のハブと違って、おとなしいヘビですから、こちらから手を出さなければ咬まれることはまずありません。夜行性で昼間は物陰で休息しています。ですから草むらに足を踏み入れるときや岩の隙間に手を入れようとするときには、よく確認してから。[戻る]
- 両生類
両生類はカエルの仲間しかいません。サンショウウオやイモリの仲間は西表島に分布していません。カエルが一番よくなく時期は繁殖期。2〜4月頃に水田に行くとたくさんのカエルの声を聞くことができます。ヒメアマガエル・ヤエヤマハラブチガエル・サキシマヌマガエル・リュウキュウカジカガエル・サキシマアオガエルなど。アイフィンガーガエルは森の中。年間を通じて鳴き声を聞くことができますが、冬は少なくなります。[戻る]
- 干潟の生き物
比較的大きな川の河口には干潟が発達しています。潮が引いていないと観察できませんので、潮位表で干潮の時間を確認しましょう。干潮の時間でも、干潮時の潮位が70cm以上ある場合には潮位が高くてあまり干潟が露出しません。干潟の観察には船浦湾・仲間川・前良川・後良川などがよいでしょう。海に面した干潟ではミナミコメツキガニの大群が観察できます。少し高いところや川にできた砂州ではシオマネキの仲間が観察できます。[戻る]
2004年4月4日公開
2004年4月20日更新