はじめに

 この「西表植物図鑑」では、西表島で観察することができる植物を紹介します。目標は西表島に自生する植物の全種の掲載ですが、それは遠い将来になるか、途中で挫折するかもしれません。

 西表島で植物を観察していて日々痛感するのが、手頃な植物図鑑が無いことです。東京や大阪の大手出版社が発行している図鑑では沖縄の植物の扱いは小さいですし、八重山諸島にしかない植物だと、そもそも掲載すらされていません。現地沖縄県で出版された植物図鑑もありますが、その多くが現在絶版や品切れで、古書店でたいへん高価に取引されています。そのため、結構よく目にする植物でさえ、調べるのがたいへんです。私は西表島を訪れた方に西表島の自然を紹介することを仕事としています。「西表島の植物の図鑑が欲しい」と求められても「現在簡単に手に入るものでよい物はないのですが…」と前置きをまずしないといけません。ならば、自分で西表島の植物図鑑を作ってしまおう、ということでこのサイトの制作をはじめました。

 西表島には約1,100〜1,200種の維管束植物が分布しているとされています。このサイトの収録種数は現在のところその数に遠く及びません。よく目にする植物でさえ、まだ十分に収録していません。徐々に増やしていき、少なくともよく目にする植物については網羅したいと思っています。

 琉球列島の植物については『琉球植物誌』という大著があります。これがなかったら、私は植物に手を出すことはできなかったと思います。詳細な検索表があり、一応、自生する全種を同定できるようになっています。図版はほとんど無く、検索表と解説文のみですから、万人向けではありません。それなりに素養のある人でないと使いこなせない本です。
 普通、知らない植物を調べる場合、一から検索することはほとんどありません。図鑑をめくって、写真を手がかりに似ている植物を探すわけですね。似ている植物を見つけると、説明文を読んだり、検索してみて間違いがないか確認するわけです。少し植物のことを勉強すれば、調べようとする植物がおおよそどの仲間なのか見当がつくようになりますから、最初から検索するより素早く目的まで到達できます。
 現在、このサイトの構成はそういった風に調べることが出来るようになっていません。そういった調べ方は紙媒体の強みだと思います。それでは、コンピュータの強みはなんでしょう。それは一瞬にして検索ができることだと思います。調べようとする植物の特徴的な要素のいくつかをキーワードとして検索すると、該当する何種類かの植物がピックアップされる。そのピックアップされた何種類かの説明文や写真を見れば、調べようとしていた植物のことが解る、ということがコンピュータならできるでしょう。ただし、このサイトはまだサイト内容を検索できるようになっていませんが、将来的にそのようにしたいと考えています。

 私は、大学などで植物学を専攻したわけではありません。本格的に植物に取り組みはじめたのも最近です。同定や記述に間違いがないように心がけましたが、いろいろな間違いが含まれるかもしれません。発見された場合は、ご指摘頂ければ幸いです。

[西表植物図鑑]